霊験お初捕物控
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レビュー
不朽の手放せ無い傑作。老人は老人のように、小児は小児のように、男は男のように、女は女のようにと言ってみれば何でもない事ではあるが、そうしたあらゆる種類の患者の病状を一々親切に聞いて遣って、院長たる私を信頼させて、安心して診察、手術を受けさせて、気楽に入院させて、時としてはその家庭の内情までも聞いて遣って、同情し、励まし、慰めつつ、無事に退院させて遣るその手際と言ったら到底、吾々凡俗の及ぶところではない。神経質な、根性のヒネクレタ老人や、ヤンチャな過敏な子供までも、モウ一から十まで姫草さん姫草さんと持ち切りで、ほかの二名の看護婦はあれどもなきが如き状態であった。アタジケない話ではあるが、患者が退院する時なぞは、院長の私のところへ謝礼をするよりも先ず姫草さんにという傾向になってしまったもので、子供なんぞは泣いて帰らないという。ヒメちゃんと一緒に病院にいるんだと言って聞かない。そのほかの患者でも、退院して後に彼女宛に寄越す礼状の長いこと長いこと。受付兼会計係をしている姉がと呆れるくらいであった。
自分はとうとう暑さに堪たえ切れないでまた少女の寝床の傍へ来て坐すわった。
僕のためにいて貰う必要はないから、どこかへ行くなら遠慮なく行ってくれ」と云い出した。
いやに自信に満ちた断言である。
ちなみに彼イツキは妹と二人暮らし、という設定がいつの間にか出来ていたらしく、急遽なシーンが刻まれた。妹を出す意味がどこにあったんだろう。