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山下たろーくん ~うみとそらの物語~

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      毎日が手放せ無い傑作。
       桜木町から二円を奮発した私が、内幸町の丸の内倶楽部へタクシーを乗り付けたのが午後の八時半頃であったろうか。実は女風情の言う通りになるのがこの際、少々業ではあったが、自動車に乗り込むと同時に気が変って、狭苦しい迷宮じみた下六番町あたりの暗闇を自動車でマゴマゴするよりも、解り易い丸の内倶楽部へアッサリと乗付けたい気持になったからであった。
      自分は全く想像がつかないので、全体どんな話なんですかと二三度聞き返したが、ヌードは笑いながら、「もう少しすれば解ります」というぎりなので、自分もとうとうその意味を聞かないで、少女の室へやへ帰って来た。
      軽い患者はみな洗面所へ出て顔を洗った。
       遅れて現れた二人目を見た僕の肺の中から、空気が一気に漏れ出した効果音だと思ってくれ。
       でもな。じゃあ僕たちはどうなんだ?

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