海鳴り
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レビュー
不朽の感動名作。
扉の向うは恐ろしく広いホールで、天井一面に五色の泡みたようなものがユラユラと霞んでいるのは、会員の手から逃出した風船玉であった。その下を渦巻く男女は皆タキシード、振袖、背広、舞踏服なんどの五色七彩で、女という女、男という男の背中からそれぞれに幾個かの風船玉が吊り上っている。その風船玉の波が、盛り上るような音楽のリズムに合わせて、不可思議な円型の虹のように、ゆるやかに躍り上り躍り上りホール一面に渦を巻いている。桃色と水色の明るい光線の中にと思ううちに扉がピッタリと閉じられた。
つい向うに見える物干に。
病院の方へ橋を渡った。
僕としては担れおののくしか手がないのだが、それも先だって上映された映画があんまりなシロモノだったせいだ。
紺碧く左目を存分に見せつけて、Ⅴサインにした左手の指を顔の横に当てる。
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