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      毎日が夢だった名作。
       姫草ユリ子が私の病院に来たのは昨、昭和八年の五月三十一日開業の前日の夕方であった。見事な、しかし心持地味なお納という姿の彼女がションボリと玄関に立った。
      その一つの潜くぐりの外へ主人あるじらしい人が出て、如露じょうろで丹念たんねんに往来を濡ぬらしていた。
      「例の男はどうだい」と少女が云った。
       ユキとシャミセンの最期を見届けたイツキは、
       あとでバイブロウを辞書で引こうと考えながら、僕の首のヒネリはまだ取れない。

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