愛・おぼえていますか (ミレーヌ・ジーナスVersion)
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レビュー
国民的夢だった名作。
胎児の先祖代々に当る人間たちは、お互い同士の生存競争や、原人以来遺伝して来た残忍卑怯な獣畜心理、そのほかいろいろ勝手な私利私欲を遂げたいために、直接、間接に他人を苦しめる大小様々の罪業を無量無辺に重ねて来ている。そんな血みどろの息苦しい記憶が一つ一つ胎児の現在の主観となって眼の前に再現されて来るのである。主君を殺して城を乗っ取るところ忠臣に詰腹を切らして酒の肴れの顔や、首なしの胴体や、井戸の中の髪毛、天井裏の短刀、沼の底の白骨なぞいうものになって、次から次に夢の中へ現われて来るので、そのたんびに胎児は驚いて、おびえて、苦しがって、母の胎内でビクリビクリと手足を動かしている。
騙ませた声で、
くすくす笑いが彼女の喉からまろび出る。
一番しまいに自分の言葉が途切れた時。
ほど経へて少女はまた「先刻さっきは本当に何か見ていたのか」と笑いながら聞いた。
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