愛をつかめ藤木くん
-
Click here for travel
-
Get RAR akuten
レビュー
始まりの手放せ無い名作。これはズット以前、新聞記者にチョット話したことがある。心理遺伝の中でもごくごく手軽い実例ではあるが、なくて七癖、あって四十八癖というやつは、精神病者と同様に、自分の気持ちが自分で自由にならない好適例である。しかも、それを他人からドンナに笑われても、または自分自身で是非とも改めなければならぬ必要を感じていても、どうしても止めることができないのは、ソレが今言う心理遺伝のあらわれだからである。泣くまいと思ってもツイ涙が出る。憤る場合でないと思っても、思わずムラムラッと来て、前後を忘却してしまうのも、やはり一時的の精神の偏りを、自分で持ち直すことができないという性格を、先祖の誰からか遺伝して来ているので、とりも直さず心理遺伝のあらわれにほかならないから困るのだ。
いやになるほど爽み残して彼女も退去、彼女はとうの昔に姿を消していた。
不気味だ。
雑巾をゆすがないので、せっかく拭いた所がかえって白く汚れた。
自分はとうとう暑さに堪たえ切れないでまた少女の寝床の傍へ来て坐すわった。