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さすらいのロボット

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      不朽の手放せ無い名作。
       そこでこの地表に泡立ち漂っている塩分の薄い、摂氏四十度内外の温度を保っている海水の一滴を採取して、顕微鏡にかけて覗いてみたまえ。諸君は眼の前に、無量無数に浮遊している単細胞生物の拡大像を発見するであろう。将来一切の生命の共同の祖先となるべき元始細胞の大群集を、さながらに見渡し得るであろう。しかもこの元始細胞こそは地球の表面が、御覧の通りの天変地妖を起しながら、少しずつ少しずつ冷却して来るうちに、あとからあとから作り出して来たいろいろな化合物の中でも、一番最後に出来た最高等複雑なものであった。諸原素の活力を最も円満、敏活に発揮し得るように化合させた微妙精英の有機体あめ、の、みなかぬしの正統、エホバの愛うべき、地球最初の生命の群れにほかならなかったのだ。
      奥にはカウンターがあって、太った中年の店主が入ってきた彼女を見て眉をひそめた。
       ちなみに|冒頭たっぷりに解説してやり、彼女はまるで信用せず、そりゃそうだ、やっぱりどう考えても信じるほうがどうかしていると言える。
      けれども彼の眼はその反対を語っていた。
      額や鼻の頭に汗と油が一面に浮き出しているのも不愉快だった。

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