ウォッチとクロックの歌
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レビュー
なつかしの手放せ無い名作。但し吾輩がの中に並べ立てた引例は皆、人類各個お互い同士に共通した、喰いたい、寝たい、遊びたい、喧嘩したい、勝ちたいといった程度の心理の遺伝で、ごくごく有り触れた種類のものばかりであるが、ここで研究しているのは、それよりもモットモット突込んだ、個人個人特有の極端、奇抜な心理遺伝の発作なんだ。近頃流行の猟奇趣味とか、探偵趣味なぞいうものが、足元にも寄り付けないくらい神秘的な、尖な、グロテスクな、怪奇、毒悪を極めたナニ、まだ見たことがないから見せてくれ。お安い御用だ。タッタ今お眼にかけよう。
木でできた粗末なテーブルが三つ。
俺が計八百三十円を表示している紙切れを見つめて抗議の声の内容を考えている隙に、彼女はテーブル上に置いてあった俺のコーヒーを一息で飲み干し、どんな文句も受け付けないといった感じの一睨みを俺にくれると、｜大股組みをした。
彼はたとい病院を出る場合が来ても、むやみな山登りなどは当分慎まなければならないと覚さとったと説明して聞かせた。
すると病人はまだすやすや眠っていた。