団鬼六 修道女縄地獄
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レビュー
前衛的世界的作品。
あア。頭たたいてお詫びをしまする。そもやそもそも一体全体。こんなスカラカ、チャカポコ頭が。身のほど知らない木魚をたたいて。頼み手もない金にもならない。要らぬ赤恥、天日にさらげる。ことの起りはキチガイ地獄じゃ。文明社会の裏面に拡がる。無茶と野蛮の底抜け地獄じゃ。筆も言葉も木魚もおよばぬ。むごさ、せつなさ、悲しさ、辛さを。底の底まで見て来たお陰で。こちらの頭が少々変テコ。これをこのまま棄ててはおけぬと。思い込んだが因果のはじまり。これを助ける方法手段を。あれよこれよと思案のあげくが。精神病者を無料で預る。デカイ病院建てるが第一。それを建てるにゃ皆様方の。世論のお力借りねばならぬ。または一厘一銭たりとも。無駄に使わぬ思案の果だよ。思い付いたる乞食の姿が。お眼に障ったお詫びの印じゃ。今のキチガイ地獄の歌をば。印を書いて。ぽんとポストにお願いしまする。願うところはこの世の中に。こんな事実がありますことを。向う三軒両お隣りや。どなたこなたの噂の種に。語り伝えて下さりませよ。すれば今言うキチガイ地獄じゃ。人類文化の裏面の秘密が。否が応でも世間へ広まる。悪いことする精神病院。キチガイ地獄を片端なぐりに。タタキ潰せと世論が高まるチャカポコ、チャカポコ。
すると病人はまだすやすや眠っていた。
彼はたとい病院を出る場合が来ても、むやみな山登りなどは当分慎まなければならないと覚さとったと説明して聞かせた。
こうした私の目的は間もなく立派に達成された。彼女は私の病院に雇われてから一週間と経たぬうちに俄然として見違えるような美少女となって、病院の廊下を飛びまわる事になった。決して自家広告をする訳ではないが、私は彼女に施した隆鼻術の効果の予想外なのに驚いたものであった。手術をして遣った翌る朝、薄化粧をしてと言った彼女の笑顔を見た瞬間にこれは大変な事をした。とんでもない美人にしてしまったと肝を潰したくらいであった。
白い封筒の中味はありふれた便いもない姫草ユリ子のペン字で、処々汚なくにじんだり、奇妙に震えたりしているのが何となく無気味でした。
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