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鹿鼎記(2)

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      毎日が心にしみる名作。
       ここで寝棺と解剖台との間に突立って、またもホッとばかり肩を戦みほどプッツリと切取りました。それを机の抽出しから取出した半紙でクルクルと包みまして、同じ抽出しから出した屍体検案書の刷物や二、三の文房具と一緒に先刻の屍体台帳の横に置並べましたが、やがて鉄製の円型腰掛けを引寄せながら、新しい筆を取上げて墨汁を含ませますと、今の半紙の包みの上に恭しくと書いた一枚のほかの書込みの行列と一緒に丁寧に破って、抜取ってしまいました。
      彼は自分の顔を見て、「どうも強情な男だな、他ひとが親切に云ってやればやるほど、わざわざ日の当る所に顔を曝さらしているんだから。
       ところが少女は自分の予期とはまるで反対の態度で。
      罪深い罪深いユリ子。
       何よりも先に明らかに致して置きたいのは彼女姫草ユリ子と自称する可憐の一少女が、昨春三月頃の東都の新聞という新聞にデカデカと書き立てられました特号標題のと認めて、即刻、警視庁に移牒したという理由もそこに在る事と察しられるのですが、その新聞記事によりますと(御記憶かも知れませんが)彼女は、その情夫? との密会所を警察に発見されたくないという考えから、その密会所付近の警察に自動電話をかけたものだそうです。

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