椎名誠 焚き火を楽しもう
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レビュー
始まりの手放せ無い心のサプリメント。
諸君もユックリ読んでくれ給え。遺言とか何とか言ったって気楽なもんだ。ナマンダ式やアーメン式、または無念残念式とはネタが違う。キチガイ博士のキチガイ実験の余興みたいなもんだ。残る煙がお笑いの種明しだ。吾輩の研究の中心となっている稀の美少年と、絶世の美少女との変態性欲に関する破天荒の怪実験が、ドンナ学理の原則に支配されて、ドンナ風に緊張し、白熱化しつつ、実験者たる吾輩の全生涯を粉砕すべく爆発しかけて来たかという、その自然発火の裏面のカラクリが、しだいしだいに手に取るごとく判明して来るんだから。
その一つの潜くぐりの外へ主人あるじらしい人が出て、如露じょうろで丹念たんねんに往来を濡ぬらしていた。
院内では小使が丁字形ていじけいの棒の先へ雑巾ぞうきんを括くくり付けて廊下をぐんぐん押して歩いた。
と思わず口を辷らしたが、恐らくそれが図星だったのであろう。樽の縄を始末していた彼女は、ただ赤面した切りでコソコソと病院に逃げ帰ったようであった。
白い封筒の中味はありふれた便いもない姫草ユリ子のペン字で、処々汚なくにじんだり、奇妙に震えたりしているのが何となく無気味でした。
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