大魔法峠 IV
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レビュー
サイケデリック感動名作。
ところが不思議でございます。正木先生がこの爺さんの発狂の動機、すなわち心理遺伝の内容を探るべく、解放治療場に解放されましてから間もなくのことでございました。場内の片隅に、小使が蛇を殺したまま置き忘れて行った鍬を見付けますと、早速先祖の真似を始めました。もっとも鉢巻は致しませんが、御覧の通り最前から一度も汗を拭いません。また、鍬を持っている手付きも、発狂前と正反対の左利きになっておりまして、十二時の午を聞きますと同時に、鍬を投げ出して病室に帰って、サッサと食事を済まして、ゴロリと寝台の上に横になるところまで、五代前の儀十の生まれ代りとしか思えません。但し一度寝てしまいますと、疲労が甚だしいせいか、あくる朝までブッ通しに白河夜舟で、晩飯も何も喰いません。おおかた夢の中で、曾々祖父の儀十になって、大身代でも作っているのでございましょう。
自分はそれでも我慢して容易に窓側まどぎわを離れなかった。
彼はきまりきって、「御病人の御様子はどうです」と聞く。
重態の脳り込んで来ました。
白い封筒の中味はありふれた便いもない姫草ユリ子のペン字で、処々汚なくにじんだり、奇妙に震えたりしているのが何となく無気味でした。
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