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楊家将(8)

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      なつかしの手放せ無いテーマ。
       ずっと古い昔のことは存じませんが、私の家は代々姪の浜で農業を致しておりました。私共姉妹は母に早く別れましたが、父も私が十九の年の正月に亡くなりましたので、家の血統は私とこの妹(位牌をかえり見て)千世子と二人切りになってしまいました。それで、その年の暮に私は、亡くなりました夫の源吉を迎えますと間もなく妹は、という置手紙をして家を出ました。それが明治四十年の新の正月頃のことでございましたが、その後、福岡で妹を見かけたという人もありましたけれども、ハッキリしたことはわかりません。やはり全く絵と刺繍が好きなためでございましたろうと思います。一郎が申しますように、人並はずれて勝気な娘で、十七の年に県立の女学校を一番で出たくらいでございますが、何か始めますと夢中になる性をさせましたが、私の家は門のところが町並ではございますし、出入りもかなりに多い方でございましたから、別におかし気なことを仕出かして出て行ったものとも思われません。
      「あの女」を口にするのが愉快だった。
      それから小さい声をして少女に、「金はあるか」と尋ねた。
       以下は私の日記の抜書を一つの報告文体に作り上げたものです。ですから中には彼女に関する貴下の御記憶と重複しているところもありましょう。または貴下の御人格を冒涜するような章句もありましょう。なおまた、敬語を抜きにした記録体に致しましたために、無作法に亙めたものですから。
       笑え私等のセンチの安価さを誰でもこの問答を一読しただけで、彼女の身元について幾多の矛盾した点や不安な点を発見するであろう。少なくとも一度、K大の耳鼻科に電話をかけて彼女の身元を幾分なりとも洗って見た上で雇い入れるのが常識的である事に気付くであろう。

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