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楊家将(2)

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      サイケデリック感動テーマ。
       その刺繍の上手なお嬢さんが、この翠に通っていたのは、もう二昔前の日露戦争頃のことで、私が三十代の時ですから、詳しいことはわかりませんねえ。エエ、通っていたことはたしかですよ。その頃が十七か八くらいでしたろうかねえ。ちょっと眼立たぬ風をしておられましたが、小柄なキリリとした別嬪さんで、名前は虹野ミギワさんと言いました。イイエ、間違いはありません。珍しい名前ですからよく憶えております。また今お話になりましたなどいう刺繍のできる人は虹野さんよりほかに見たことがありません。
      一番しまいに自分の言葉が途切れた時。
      僕のためにいて貰う必要はないから、どこかへ行くなら遠慮なく行ってくれ」と云い出した。
       彼女の持って生まれた魅力は事実、男女、老幼を超越したものがあった。この点では私の家族たちも唯一言と評するよりほかに批評の言葉を発見し得ないくらい、彼女の手腕に敬服していた。
       彼女の看護婦としての腕前は申し分ないどころの騒ぎではなかった。K大耳鼻科のお仕込みもさる事ながら、彼女は実に天才的の看護婦である事を発見させられて、衷から舌を巻かされたのであった。

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