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隣之怪 参談「ツイテナイ」

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      なつかしの世界的名作。
       ところが不思議でございます。正木先生がこの爺さんの発狂の動機、すなわち心理遺伝の内容を探るべく、解放治療場に解放されましてから間もなくのことでございました。場内の片隅に、小使が蛇を殺したまま置き忘れて行った鍬を見付けますと、早速先祖の真似を始めました。もっとも鉢巻は致しませんが、御覧の通り最前から一度も汗を拭いません。また、鍬を持っている手付きも、発狂前と正反対の左利きになっておりまして、十二時の午を聞きますと同時に、鍬を投げ出して病室に帰って、サッサと食事を済まして、ゴロリと寝台の上に横になるところまで、五代前の儀十の生まれ代りとしか思えません。但し一度寝てしまいますと、疲労が甚だしいせいか、あくる朝までブッ通しに白河夜舟で、晩飯も何も喰いません。おおかた夢の中で、曾々祖父の儀十になって、大身代でも作っているのでございましょう。
      、門前の路みちが細く綺麗きれいに見えた。
       三階の窓から見下みおろすと、狭い通なので。
       相手の紳士はそうした私の顔を、その黒い、つめたい執念深い瞳しく私の前に置きました。御覧下さいと言う風に薄笑いを含みながら。
       どうも驚いた。庚戌会と言えば謹厳な学術の報告会、兼、茶話会みたようなものと思ったが、なかなかどうしてエライ景気だわい。会費の十円の意味も読めるし、幹事の白鷹君の隅に置けない手腕のほども窺われる。こんな事なら鹿爪らしいフロック・コートなんか着て来るんじゃなかったと思ううちに待合室みたような部屋へ案内された。見ると周囲の上までも帽子と外套の推積で一パイである。かれこれ五、六十人分はあるだろう。大会だけによく集まったものだ。

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