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桃華月憚 壱

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      時代を超えた心にしみるグループ。
       彼女は、解剖台上の少女が、その仮死状態から時々刻々に眼ざめつつあることを知りますと、御覧の通り極めて緊張した態度で、左右の手袋を脱ぎました。解剖着の下にまん丸く膨れておりますズボンのポケットにその手を突込んで、色々な品物を取出しながら、一つ一つ傍の木机の上に並べました。白髪のいろいろ等々々。いずれも、かような部屋に似合わしからぬ品物ばかりで。それから入口に近い棚の奥に隠してありました茶色の紙包みを開きますと、中から白木綿と白ネルの筒袖の着物、安っぽい博多織の腰帯、都腰巻、白い看護婦服と帽子、バンドの一揃い、スリッパ、看護婦帽、ヘヤピンなぞの、いずれも新しいものばかりを取出しまして、やはり傍の木机の上に置き並べました。かような品物は皆、昼間から準備していたもので、多分、解剖台上の少女に着せるつもりではないかとも思われますけれども、何のためにそんなことをするのかということはまだ判明致しません。
      「あの女」がまだどこかにいそうな気がするので、自分は玄関の入口に佇立たたずんで四方を見廻した。
      「ありゃ取り換えてやらなくっちゃ、あの女が可哀かわいそうだね」と少女は時々苦にがい顔をした。
      重態の脳り込んで来ました。
       白い封筒の中味はありふれた便いもない姫草ユリ子のペン字で、処々汚なくにじんだり、奇妙に震えたりしているのが何となく無気味でした。

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