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あずまんが大王 (4)

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      国民的心にしみる逸品。
       それからまた、あの土下座している髯男の周囲な性格でございましたが、芸術方面に非常な才能をあらわしておりまするうちに、いわゆる、早発性痴呆となったものでございます。ところが、その発病と同時に、今までの性格がガラリと一変致しましたもので、ここへ入院致しました当時、正木院長から名前を尋ねられた時にもと答えたという病院きっての愛嬌者で、いつも御覧の通り、自作の歌を唄いながら、踊りまわっているのでございます。
      その代り肝心かんじんの「あの女」の事をかえって云い悪にくくしてしまった。
      それでもその看護婦が入口の柱にもたれて、うとうとしていると、彼はわが室へやの中うちからその横顔をじっと見つめている事があった。
       曼陀羅院長は田宮課長の敏速な手配にもかかわらずトウトウ捕まらなかったらしく、今日の日が暮れるまで何の音沙汰もありませんでした。したがって彼氏が、彼女とどんな関係を持ったドンナ種類の人間であったか。どうして彼女の遺を手に入れたか。いつから彼女の蔭身に付添って、どの程度の黒い活躍をしていたかと言ったような事実はまだ推測出来ません。
       もっともその時に私は彼女の幸福を祈っている兄や両親の事を思い出して、相当御念入りにシンミリさせられていたから、彼女のそうしたコソコソした態度にはチットモ気付かなかった。彼女のアトを見送りながら、

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