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君の手がささやいている 第四章

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      時代を超えた手放せ無い秀作。
       なるほど、人間の屍体を解剖して、脳髄なるものを覗いてみると、そうした考え方は万々間違いないようにみえる。大脳、小脳、延髄、松果腺なんどと、無量無辺に重なり合っている。奇妙キテレツな恰好をした細胞が、やはり、奇想天外式に変形した神経細胞の突起によって、全身三十兆の細胞の隅から隅までつながり合っている。その連絡系統を研究して行くと結局、人体各部を綜合する細胞の全体が脳髄を中心にして周到、緻密、かつ整然たる糸を引合った形になっているのだ。だから人間一切の行動を支配する精神、もしくは生命意識なるものは、脳髄の中に立て籠もっているのじゃないかしらんと考えられる。少なくともと考えてさしつかえないように考えられるのだ。
      それで「僕の窓から首を出していたのは、君のような無意味な強情とは違う。
      一寝入するとすぐ眼が覚さめた。
      本日の午後一時頃の事でした。
       曼陀羅院長は田宮課長の敏速な手配にもかかわらずトウトウ捕まらなかったらしく、今日の日が暮れるまで何の音沙汰もありませんでした。したがって彼氏が、彼女とどんな関係を持ったドンナ種類の人間であったか。どうして彼女の遺を手に入れたか。いつから彼女の蔭身に付添って、どの程度の黒い活躍をしていたかと言ったような事実はまだ推測出来ません。

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