まほろまてぃっく TV-BOX
-
Click here for travel
-
Get RAR akuten
レビュー
時代を超えた楽しみテーマ。ここに御紹介致しまするは、九州帝国大学、医学部、精神病科本館の裏手に当って、同科教授、正木先生が開設されましたる、狂人解放治療場のとございます。映写致しまする機械は、最近、九大医学部におきまして、眼科の田西博士と、耳鼻科の金壺教授とが、彼女と協力致しまして、医学研究上の目的に使用すべく製作されましたもので、実に精巧無比目下米国で研究中の発声映画なぞはトーキーおよばない画面と実物とに寸分の相違もないところにお眼止めあらんことを希望致します。
そんなこんなで好く眠られなかった朝、もう看病は御免蒙ごめんこうむるという気で。
松だの石榴ざくろだのの盆栽が五六鉢はち並んでいる傍そばで、島田に結いった若い女が。
妾先生の病室で自殺いたします。子宮病で入院中にジフテリ性の心臓麻痺で死んだようにして処理して頂くよう曼陀羅先生にお願いして置きます。
桜木町から二円を奮発した私が、内幸町の丸の内倶楽部へタクシーを乗り付けたのが午後の八時半頃であったろうか。実は女風情の言う通りになるのがこの際、少々業ではあったが、自動車に乗り込むと同時に気が変って、狭苦しい迷宮じみた下六番町あたりの暗闇を自動車でマゴマゴするよりも、解り易い丸の内倶楽部へアッサリと乗付けたい気持になったからであった。